alt

ETCHINGエッチング技術

エッチング加工とは

エッチング加工(フォトエッチング)は、薬品による腐食作用を利用して金属を溶解加工する技術です。CADデータから製作したパターンを金属板に転写し、液体の薬品により不要な部分を溶解・除去することで精密で複雑な形状への加工が可能です。エッチング加工の特性は他の金属加工と比較してさまざまなメリットがあり、加えてケミカルプリントならではの付加価値を提供しています。

エッチング加工の特長

ケミカルプリントの特長

エッチング加工の特長

  • 01複雑な形状への対応

    精密写真技術で図面・デザインパターンを金属に転写し不要部分を一度に溶解させるため、多孔・精密といった複雑な形状への加工に相性がいい加工方法です。

  • 02ゆがみや変寸がなく高精度

    プレス・切削加工と異なり製品と接触することがなく、レーザー加工のように高熱を伴うことがないため、ダレ・バリ・ひずみなど変形・変寸が発生しにくく高精度な仕上がりになります。

  • 03難削材への加工

    溶解が可能な条件であれば、物理的な加工が難しいモリブデン、インコネルなどの難削材への加工も可能です。

  • 04少量多品種生産に最適

    プレス加工やレーザー加工と異なり、比較的短い時間で作成できるフィルムパターンを原版とするため、少量多品種生産に最適な加工方法です。

  • 05短納期・試作品への対応

    データ加工からフィルム作成までが短い時間で対応できるため短納期での生産や、変更が予想される試作品などへの相性がよい加工法です。

  • 06初期コストの削減

    プレス加工などで必要な金型・治具の製作が不要なため、イニシャルコストを大幅に削減できるのがエッチング加工のメリットの1つです。

ケミカルプリントの特長

  • 微細・極小・極薄製品
    への加工

  • 加工技法の 提案力

  • 技能の高い スタッフ

  • 充実した設備による
    効率生産

ケミカルプリントの特長

活用されている業界・分野

複雑形状や精密加工を得意としているエッチング加工技術は、
幅広い業界・分野で活用されています。

エッチング工程

  • 01.パターンフィルム作成

    図面やデータをもとにCADでパターンフィルムを作成します。

  • 02.前処理工程

    油分やホコリを取りのぞきレジストの密着強度を向上させます。

  • 03.レジストラミネート

    クリーンルーム内で金属板にレジストをラミネート加工します。

  • 04.露光

    パターンフィルムを被せて露光し、パターンをレジストに転写します。

  • 05.現像

    エッチングを施す部分のレジストを除去して金属板の表面を露出します。

  • 06.エッチング

    薬品をつかい露出した金属部分を溶解除去し、指定寸法に加工します。

  • 07.レジストの剥離

    エッチング後に保護した部分のレジストを除去し、洗浄・乾燥します。

  • 08.検査・出荷

    寸法検査、外観検査などを行いクリアした製品を出荷します。

加工精度

加工可能な材質、板厚

材質 ステンレス 銅合金 コバール アルミ モリブデン 42アロイ
厚さ(mm) 0.01~2.0 0.005~2.0 0.01~2.0 0.05~1.0 0.01~2.0 0.01~0.2 0.05~0.2 0.03~1.0

ご注文頂いた製品の厚さ、精度により加工可能サイズは異なります。その他様々な材質、厚さに対応いたしますのでお気軽にご相談ください。

無料相談

試作品・サンプル

お問い合わせはこちら

寸法公差

エッチング加工の性質上、素材の厚みと材質との関係で寸法と許容差が発生します。

  • 穴の直径(D)を金属の厚さ(t)以下にすることはできず、この関係は金属の材質・厚さにより変わります。

    金属の厚み(t) 穴の最小直径
    0.05mm以下 テスト加工で決定
    0.05~0.1mm 金属の厚さの110%程度
    0.1mm以上 金属の厚さの100%程度
  • エッチング加工による穴径は板厚より小さくすることは困難です。一般的には板厚の150%程度が目安となりますが、板厚やフィルム補正等の調整により、板厚と同等の直径に近づけることも可能です。スリット幅(抜き)は板厚の120%程度が目安となりますが、穴径と同じく調整により板厚と同等の寸法まで近づけることが可能です。尚、残し幅の最小寸法は板厚の50%が目安となります。こちらも板厚や補正の調整により、幅寸法の調整が可能となります。

  • エッチング加工では、加工部分の内角や外角にRが付きます。Rは板厚に伴って変化し、外角よりも内角の方が大きくなります。一般的には内角は板厚の70%程度、外角は板厚の50%程度となります。

  • Aの幅は板厚×約40%の大きさになります。 例:板厚が0.3tの場合、Aの幅は0.3×40%=0.12になります。 Bの幅は板厚×約0〜20%の大きさになります。 例:板厚が0.3tの場合、Bの幅は0.3×20%=0.06になります。

    このように加工によって出来る部分をサイドエッジと呼びます。 この部分を前もってパターンフィルムで調整して所定の寸法を保つようにしています。 これをフィルム補正と呼んでいます。 この断面形状から見た直線性は、材質、レジストの密着強度、現像、エッチング条件によって変化します。 ケミカルプリントでは、このサイドエッジを極力出さない技術があります。

ピッチ公差

材料に配置するピッチの数やパターンの形状によっても変化しますが、通常は板厚の1/2程度の寸法が間隔として必要となります。板厚が厚い材料になるとサイドエッジが大きくなります。

10mm以下 ±0.005mm
10mm~100mm ±0.01mm
100mm~300mm ±0.01mm~±0.03mm

エッチング加工の応用

エッチング加工法を応用し、より複雑な形状への製造を可能としています。

ハーフエッチング

通常のエッチング加工は金属板の両面から溶解させ貫通させます。ハーフエッチングは片面のみをエッチング加工することで貫通させず、一度の工程で段状やポケット状、溝、流路などの加工が可能です。一般的に板厚の60~70%程度の深さになりますが、ケミカルプリントでは高精度の深さ調整を得意としています。

二段彫りエッチング

二段彫りエッチングとは、2つのパターンのエッチング加工を行うことで、製品の加工部分に二段のエッチング加工を成形する技法です。より立体的で複雑な製品をパーツ接合なしで製作することができるのが利点です。

ブリッジレスエッチング

製品を作成する際にブリッジやジョイントというツナギを付けます。ツナギがある製品はこれをカットした後、ヤスリでの仕上げ等の作業が必要となります。これに対し、バリや出っ張りが不可な製品、外形公差がある製品、板厚の薄い製品、細かな製品にはブリッジレスでのエッチング加工を行い、これら厳しい要求に対応します。

右上:ブリッジあり/左下:ブリッジレス